Robinson's cherry 26
翌日、五十二島目から出発したウォートは、昼過ぎ頃から強くなりだした風に横面を張られながら、橋を渡ってその島の住人に澪を知らないかと問うた。
帰ってくるのは大抵同じ応えで、
「月に一二度見るよ」
「ああ、綺麗な子だろ。足の引きつれ? さあ…それは知らないな」
「住んでる場所は…さあ、どこだろ」
どの応えも曖昧だった。
たまに
「知ってるよ、隣に住んでる」
などという応えが返ってきて、焦る心を落ち着かせながら逢ってみると、同じ金髪で青い目をしていてもまったく違う人間だったこともあった。
それでもめげずに二日目の宿は八十二島目でとったウォートは、疲れ果てた体を寝台に投げた。いい作りではないベッドは固くしなってウォートの背を受け止め、ぎしりと低く鳴る。
前の島にあった店で買った夕食で腹が膨れたせいか、それとも聞きこみに疲れたのか、どちらにしろ瞼は抗いようのないやわらかな力を持ってそろそろと下がってくる。
やがて目を閉じたウォートの部屋の窓が、嵐になりそうな風を受けてがしゃんと大きく鳴った。
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