ひとでなしの恋 5




 最初に生まれたのは両性で、藍(ラン)と名付けられ、二番目に産まれた男の子は征史朗(セイシロウ)と名付けられた。
 征一は二人に父親としての背を見せ、高槻の長としての居丈を見せた。
 凛は二人に母親としての愛情を注ぎ、組長を支える者としての立場を教えた。
 そうして十五年の月日が経ち、ある転機を境に、その姿は見られなくなった。
 年々勢力を増し、やがては国の裏を全て牛耳るほどとなった高槻に恐れを成し、これ以上勢力を伸ばされる前にと次代候補である征史朗を狙った凶弾を、征一が受けたのだ。
 三発の銃弾を喰らった一ヶ月後、征一は死んだ。
 現場にいた凛は、泣きもせず騒ぎもせず、力を失っていく征一の傍にいた。
「笑え。最期までお前の笑うてる顔が見たい」
「ええよ」
 苦しさを見せない男の手を握って日々微笑み、やがてその手から力が抜けた時、微笑みを顔に佩きながら、ただ静かに一条の涙を零した。
 その後、征史朗は凛を暫くの後見人として、自らは四代目として立った。
 征一の死から、一週間後の事だった。










 俺の母は、剛いひとだった。
 優しいひとだった。
 きれいなひとだった。
 はかないひとだった。
 父が死んでから一年後に俺が生んだ子を見て、「征一さんと似てる…」と小さく呟いて、その子に征和と名付けて死んだ。まだ32歳だった。
 そして俺は今、母と同じ立場にいる。
 組長の傍につき、なにがあろうとも離れず、支えになる立場。
 組長の子を生み、次代を担う子を育てる立場。
「藍、征和はどないした」
「寝てる、起こさんといて」
「せやったらええんや、俺ァ、お前とええことしたいだけやからな」
「そればっかりや、馬鹿征史朗」
 母は、血の繋がった俺と征史朗が交歓し、子どもを孕んでしまっても文句を言わなかった。ただ微笑んで、
「命も体も賭けて、征史朗とやや子を愛しや」と言っただけだった。
 剛さ、優しさ、はかなさ、美しさ、厳しさ。
 全てを俺に教え、やがては長になる征史朗を支えられるようにとしてくれた母。
 今はもう、亡いひと。
「なぁ、征史朗」
「ん?」
「お前は、俺が守ったるから。征和も、組員も、俺が守ったる」
 俺の背には、母と同じように、龍がいる。
 黄金に光り輝く珠を抱く龍。
 いつか、俺は己の炎に焼かれて死ぬのかもしれない。
 兄弟で交歓し、子まで成してしまった罰が下るかもしれない。
 しかし、それでもいい。
 母が教えてくれたものを守り、俺が成したものを守り、そうして死ねるのなら。
「母さんみたいに、守ったるからな…」
「…おう」
 いつか訪れる死の日。
 それまで、俺はきっと貫いていくだろう。
 母から学んだものを守り、弟である、目の前の男を愛する日々を。
 ひとでなしと言われ様とも、きっと。








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おわりデース。
双子で近親相●ですよ(伏字の意味なし…orz)

これが書きたくて、変な独白が入ってたんです…。


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