Robinson's cherry 21
七ヶ月ぶりに訪れたリンチュエイの街は、相変わらず活気が満ちていた。
もう夕方だというのに、人々は声を張り上げて商品を売り、時々まけてよと言って買っては笑いを振りまいている。時報のように、船の出る時間になると街中に鳴り響く鐘は常に鳴り響いて波音にまじる。
笑みと活気と騒音の溢れた街に着船した四人は、まずは、と宿に入った。
なにも持たずに行くのはさすがに心許ないからと、家から一つ、ここでも採れる宝石を石だけ指輪から抜き取って持ってきたのを売れば、駄賃としてもらっていた金額とは比べものにならないほどの金額で売れた。
宝石を売った金で宿代を払い、今日はそのまま寝ると床に入ってしまった樹はおいて、三人は街に出た。
もう何度もこの街に足を運んでいるのか、雫に声をかける者どころか、アークの肩を叩いて笑う者もいた。
「ずいぶん馴染んだな」
「もう何度も来てるし。俺捕まえたやつを塩漬けにして、時々売りに来るんだ。おう久しぶり」
すれ違ったユウビョウ族とすれ違い間際に肩をたたき合ってすぐ離れると、アークは先を歩いた二人に追いついた。
「澪を探すの?」
はぐれないようにアークと手をつなぎながら、雫が周りを見渡した。
「情報は逃げるんだ。今日聞ける情報は、明日は聞けないかも知れない」
軍にいたときに習ったことを言って、ウォートはアークを振り返った。弟も軍で同じことを習った。あの星は、武力よりも情報が戦争の勝敗を決めるものだったから。
「そう。明日聞ける情報は、もう昨日になった今日には聞けないだろ?」
アークが哲学的なことを言うと雫はわかったような、わかっていないような曖昧な顔で頷いた。
「じゃあ、夕飯までは聞き込み?」
「そうなるな。疲れたか?」
「全然」
全く平気と先に歩き出した雫は、振り向くと、
「情報は早くなんでしょ!」
と言った。
どうやら先ほどの言葉は雫の中で格言になったようだった。
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